本番前に、打ち合わせや练习をしない
Q:5年ぶりの共演です。振り返って、『蛇にピアス』の顷の自分たちをどう思いますか?
吉高由里子(以下、吉高):よく话すんですけど、とにもかくにも「二人とも暗かったよね」って(笑)。
高良健吾(以下、高良):人として面倒くさいヤツだったと思います。疑问に思うことがあるたびに、いちいち人に突っ挂かっていましたから。今でも疑问に思うポイントは変わらないけれど、それをどういうときに伝えたら自分が気持ちいいのかが、だんだんわかってきた気がします。あのころは常に仕事について考えていましたし、吉高さんともそんな话をしていました。
吉高:ね。高良さんが20歳で、わたしが19歳。自分にはたくさんの可能性があると思い込んでいたから、ネガティブになっても、なんだかんだ生きていたんだと思います。今回『横道世之介』で共演したら、お互いにとてもポジティブになっていて、「现场に来るのが楽しいね」って。今は「あのときのうちら、ホント暗かったよね」って笑い飞ばせるようになりました。この5年间、仕事に対する姿势はものすごく変わったと思います。中心にいる高良さんが楽しそうだから、现场の雰囲気は春みたいに温かかった。
高良:「现场が好きになった」「仕事が楽しくなった」という変化はあるんですけど、その理由はわからないんです。よくよく考えてみると、芝居や仕事に対する考え方はそんなに変わっていない気もする。例えば、『蛇にピアス』の现场で、蜷川(幸雄)さんから「おまえら二人で练习しとけ。普通は练习しとくもんだよ」って言われたんです。でも、仆らはしなかった。
吉高:しなかった(笑)。
高良:その「练习をしない」という気持ちは、今回も変わりませんでした。仆らはあらかじめ何かを决めてお芝居をするのが好きじゃないなって。それなのに、あるシーンで何かがうまくいかなかったとき、仆がつい「こういうふうにしてみたらいいじゃん」ってアイデアを出しちゃったんです。実际、やってみたらやっぱり好きじゃなくて。
吉高:高良さんから提案してきたのに「うわー! 俺気持ち悪いこと言っちゃった。もう俺、こういうこと言わないから!」って激しく后悔していました(笑)。确かに、高良さんとはいつも素っ裸で现场に立って、落ちている服を拾って着ていくように、そこにあるものに対応していく感じでお芝居をしてきたから、事前に言叶で说明しちゃう自分が気持ち悪いのはわかります。
高良:不安なままやるのがいいなって思うんです。不安だから精いっぱいやる。
吉高:不安で无防备なまんま现场に立てるのも、5年前から知っている信頼感があるからかもしれないですね。