久しぶりの依頼
翌日。
昨日と同じように、俺とサリア、そしてアルは宿屋で少し遅めの昼飯を食べていた。
ちなみに、オリガちゃんとゾーラ、そしてルルネはオリガちゃんに連れられ、また孤児院を訪れている。
どうやら昨日、サリアと孤児院に行ったとき、今日も遊ぶ約束をしたらしい。オリガちゃんにとっては、年の近い友達ができたようでよかった。ゾーラも子どもたちから怖がられることなく、馴染めたようだし。
ただ、ルルネがどんな扱いを受けるかは知らないけど。
ご飯を食べていると、アルがふとあることを思い出したように口を開いた。
「そういやあ、昨日もちょっと触れたが、誠一とサリアは依頼は受けてるのか?」
「え?」
「依頼?」
思わず首を傾げると、アルは若干呆れながら続ける。
「いや、オレも最近は忙しかったから大した依頼は受けていないが、それ以上に誠一たちは依頼を受けてる様子がねぇからさ……」
「んー、私は昨日とかクレアさんの孤児院に行ったけど、依頼じゃないし……」
言われてみれば、ギルドに登録するために試験を受けて以降、まともに依頼を受けた記憶がない俺。
……完全に忘れてたというか、なんというか……。
元々ギルドに登録したのは、神無月先輩たちの情報を集めるためってのと、身分証的なモノが欲しかっただけなので、依頼への熱心な気持ちは特にないのだ。
「誠一もサリアも、試験の時にせっかくお得意様ができたってのに、全然意味がねぇじゃねぇか……」
「あ、あはは……」
返す言葉もございませんね。
ギルドに登録するときの試験で、サリアは孤児院で子どもたちの面倒を、俺はアドリアーナさんの家のミルクちゃんを散歩させる依頼を受けたわけだが、お互いに依頼主が非常に満足していただけたおかげで、アルの言う通りお得意様として定期的に依頼を受けられるはずだった。
だが、学園で先生することになったり、カイゼル帝国の兵士たちを海に捨ててきたり、ルーティアのお父さんを助けたり……普通の依頼を受ける時間が全くなかったのだ。
てか、こうして考えると濃い人生送ってるなぁ、俺。
つい遠い目をしてしまう俺に対し、アルはため息を吐いた。
「はぁ……まあ、忙しかったってのは分かるけどよ。それに、依頼は強制じゃねぇしな」
「だ、だよね!」
「――――だが!」
アルの言葉に乗ろうとするも、そんな俺の言葉を遮り、アルはジトっとした目を向けてきた。
「お前らの実力でFランクとか詐欺だからな!?」
「え、えー? そうか?」
「なんでそこで首を捻るんだよッ!」
「だって、ギルド本部の連中は実力はあるのにCランク以下の人間ばっかりじゃん」
「つまり、自分で変態って認めるわけだな?」
「ハッ!?」
アルの言葉に俺は愕然とした。
た、確かに、このままじゃあの変態達と同じ扱いに……!
「い、今すぐランクを上げないと……!」
「……まあSランクも変人しかいねぇけどな」
「救いはどこ!?」
ランクが低くてもダメだし、高くてもダメってどうすりゃいいんですかねぇ!?
すると、アルは一つため息を吐いた。
「はぁ……まあ落ち着けよ。いきなりSランクなんてことは言わねぇから、せめてFランクからは抜け出せ」
「そ、そうだな……」
ひとまず、アルの言う通りFランクから抜け出すだけでも抜け出そう。
海に行く以外にもう一つ目標を決めていると、ご飯を食べ終わったアルが立ち上がった。
翌日。
昨日と同じように、俺とサリア、そしてアルは宿屋で少し遅めの昼飯を食べていた。
ちなみに、オリガちゃんとゾーラ、そしてルルネはオリガちゃんに連れられ、また孤児院を訪れている。
どうやら昨日、サリアと孤児院に行ったとき、今日も遊ぶ約束をしたらしい。オリガちゃんにとっては、年の近い友達ができたようでよかった。ゾーラも子どもたちから怖がられることなく、馴染めたようだし。
ただ、ルルネがどんな扱いを受けるかは知らないけど。
ご飯を食べていると、アルがふとあることを思い出したように口を開いた。
「そういやあ、昨日もちょっと触れたが、誠一とサリアは依頼は受けてるのか?」
「え?」
「依頼?」
思わず首を傾げると、アルは若干呆れながら続ける。
「いや、オレも最近は忙しかったから大した依頼は受けていないが、それ以上に誠一たちは依頼を受けてる様子がねぇからさ……」
「んー、私は昨日とかクレアさんの孤児院に行ったけど、依頼じゃないし……」
言われてみれば、ギルドに登録するために試験を受けて以降、まともに依頼を受けた記憶がない俺。
……完全に忘れてたというか、なんというか……。
元々ギルドに登録したのは、神無月先輩たちの情報を集めるためってのと、身分証的なモノが欲しかっただけなので、依頼への熱心な気持ちは特にないのだ。
「誠一もサリアも、試験の時にせっかくお得意様ができたってのに、全然意味がねぇじゃねぇか……」
「あ、あはは……」
返す言葉もございませんね。
ギルドに登録するときの試験で、サリアは孤児院で子どもたちの面倒を、俺はアドリアーナさんの家のミルクちゃんを散歩させる依頼を受けたわけだが、お互いに依頼主が非常に満足していただけたおかげで、アルの言う通りお得意様として定期的に依頼を受けられるはずだった。
だが、学園で先生することになったり、カイゼル帝国の兵士たちを海に捨ててきたり、ルーティアのお父さんを助けたり……普通の依頼を受ける時間が全くなかったのだ。
てか、こうして考えると濃い人生送ってるなぁ、俺。
つい遠い目をしてしまう俺に対し、アルはため息を吐いた。
「はぁ……まあ、忙しかったってのは分かるけどよ。それに、依頼は強制じゃねぇしな」
「だ、だよね!」
「――――だが!」
アルの言葉に乗ろうとするも、そんな俺の言葉を遮り、アルはジトっとした目を向けてきた。
「お前らの実力でFランクとか詐欺だからな!?」
「え、えー? そうか?」
「なんでそこで首を捻るんだよッ!」
「だって、ギルド本部の連中は実力はあるのにCランク以下の人間ばっかりじゃん」
「つまり、自分で変態って認めるわけだな?」
「ハッ!?」
アルの言葉に俺は愕然とした。
た、確かに、このままじゃあの変態達と同じ扱いに……!
「い、今すぐランクを上げないと……!」
「……まあSランクも変人しかいねぇけどな」
「救いはどこ!?」
ランクが低くてもダメだし、高くてもダメってどうすりゃいいんですかねぇ!?
すると、アルは一つため息を吐いた。
「はぁ……まあ落ち着けよ。いきなりSランクなんてことは言わねぇから、せめてFランクからは抜け出せ」
「そ、そうだな……」
ひとまず、アルの言う通りFランクから抜け出すだけでも抜け出そう。
海に行く以外にもう一つ目標を決めていると、ご飯を食べ終わったアルが立ち上がった。