于沉船种菇之兔
原文
第一卷 今日から㋮のつく自由业!
第三章
眞王《しんおう》の晩餐《ばんさん》というのは、便利な裏技を绍介する番组のことでも、元プロ野球の超一流投手がゲストにワインの蕴蓄《うんちく》をたれる番组のことでもない。
「魔王《まおう》陛下と近しい血族の方々だけで囲む、高贵で特别な晩餐のことです」
なぜか鼻の穴に绵をつめこんだギュンターは、妙《みょう》にテンション高く胸を张りながら先导している。髪《かみ》はきっちりと后ろでまとめ、僧衣《そうい》に似た服は、オフホワイトで丈《たけ》が长く、前面に金糸の见事な刺繍《ししゅう》がある。
「失礼、遅《おく》れまして」
大急ぎで着替えに戻っていたコンラッドが、小走りで追いついた。その格好ときたら、本年度のコスプレキングはこの人に决定! というものだった。
アメリカ女性の憧《あこが》れ、纯白の海军士官服。爱と青春の旅立ち、原题はアンオフィサーアンドアジェントルマン、主演リチャード・ギア。谁もが闻いたことのあるあのテーマ曲をBGMに、全米人気ナンバーワンはさわやかに言った。帽子はなしで。
「一応これが正装なんでね」
窓の向こうには山肌《やまはだ》が広がり、その顶点には灯《あか》りが见えた。周囲の空気はすでに暗く、その灯は星より强く瞬《またた》いている。
「ご覧ください、あれが魔族の圣地、眞王|庙《びょう》の灯りです。我等の全ての始まりである、伟大《いだい》なる眞王の眠る场所です」
魔族、なのに圣地? という疑问はおいといて、おれは山顶の揺《ゆ》らめく炎《ほのお》に目をやる。日本でいう寺のようなものだろうか。现代日本人・渋谷有利の眼《め》で见る と、眞王とはこの连中にとって、神のような存在らしい。墓があるということは、おそらくこの世を去っているのだろう。
だが、その眞王のお告げだか言叶だかのせいで、自分はここまで连れてこられた。
「……王かどうかも判《わか》らないってのにさ」
「陛下、こちらもご覧になってください。この廊下《ろうか》は展示室も兼《か》ねておりまして、歴代魔王陛下の御勇姿《ごゆうし》が全て饰《かざ》られているのですよ。先代と先々代は肖像画《しょうぞうが》が未完成なのですが」
延々と続く廊下には、両手を広げても横幅《よこはば》に足りないという大きさの絵画が、二十枚は挂《か》かっていた。どれも写実的で精密で、眼に痛いくらい细かく描《えが》かれている。
「上野にバーンズコレクション来たときみたいだな」
「新しい顺に手前から并んでおります。こちらが第二十四代魔王フォンラドフォード・ベルトラン陛下です。国民には狮子《しし》王と呼ばれ敬われました」
「狮子王かぁ。どこの世界も似たようなあだ名を考えるもんだね」
「こ ちらは第二十三代のフォンカーベルニコフ・ヤノット陛下、厳格王と呼ばれました。そして第二十二代ロベルスキー・アーセニオ陛下、武豪《ぶごう》王として 名高かったお方です。第二十一代フォンギレンホール・デュウェイン陛下は好戦王、その前のヘンストリッジ・デイビソン陛下は杀戮《さつりく》王、フォンロ シュフォール・バシリオ陛下は残虐《ざんぎゃく》王……」
「なんかだんだんヤバイ呼び方になってこねぇ? もっと気楽な、石油王とか新闻王とかブランド王とかの人はいねーの?」
「さあ……石油も新闻もブランドもないからなぁ」
「第十五代魔王グリーセラ・トランティニアン・ヤッフト陛下、首刈《くびか》り王。第十四代フォンウィンコット・ブリッタニー陛下、流血王……」
原文
第一卷 今日から㋮のつく自由业!
第三章
眞王《しんおう》の晩餐《ばんさん》というのは、便利な裏技を绍介する番组のことでも、元プロ野球の超一流投手がゲストにワインの蕴蓄《うんちく》をたれる番组のことでもない。
「魔王《まおう》陛下と近しい血族の方々だけで囲む、高贵で特别な晩餐のことです」
なぜか鼻の穴に绵をつめこんだギュンターは、妙《みょう》にテンション高く胸を张りながら先导している。髪《かみ》はきっちりと后ろでまとめ、僧衣《そうい》に似た服は、オフホワイトで丈《たけ》が长く、前面に金糸の见事な刺繍《ししゅう》がある。
「失礼、遅《おく》れまして」
大急ぎで着替えに戻っていたコンラッドが、小走りで追いついた。その格好ときたら、本年度のコスプレキングはこの人に决定! というものだった。
アメリカ女性の憧《あこが》れ、纯白の海军士官服。爱と青春の旅立ち、原题はアンオフィサーアンドアジェントルマン、主演リチャード・ギア。谁もが闻いたことのあるあのテーマ曲をBGMに、全米人気ナンバーワンはさわやかに言った。帽子はなしで。
「一応これが正装なんでね」
窓の向こうには山肌《やまはだ》が広がり、その顶点には灯《あか》りが见えた。周囲の空気はすでに暗く、その灯は星より强く瞬《またた》いている。
「ご覧ください、あれが魔族の圣地、眞王|庙《びょう》の灯りです。我等の全ての始まりである、伟大《いだい》なる眞王の眠る场所です」
魔族、なのに圣地? という疑问はおいといて、おれは山顶の揺《ゆ》らめく炎《ほのお》に目をやる。日本でいう寺のようなものだろうか。现代日本人・渋谷有利の眼《め》で见る と、眞王とはこの连中にとって、神のような存在らしい。墓があるということは、おそらくこの世を去っているのだろう。
だが、その眞王のお告げだか言叶だかのせいで、自分はここまで连れてこられた。
「……王かどうかも判《わか》らないってのにさ」
「陛下、こちらもご覧になってください。この廊下《ろうか》は展示室も兼《か》ねておりまして、歴代魔王陛下の御勇姿《ごゆうし》が全て饰《かざ》られているのですよ。先代と先々代は肖像画《しょうぞうが》が未完成なのですが」
延々と続く廊下には、両手を広げても横幅《よこはば》に足りないという大きさの絵画が、二十枚は挂《か》かっていた。どれも写実的で精密で、眼に痛いくらい细かく描《えが》かれている。
「上野にバーンズコレクション来たときみたいだな」
「新しい顺に手前から并んでおります。こちらが第二十四代魔王フォンラドフォード・ベルトラン陛下です。国民には狮子《しし》王と呼ばれ敬われました」
「狮子王かぁ。どこの世界も似たようなあだ名を考えるもんだね」
「こ ちらは第二十三代のフォンカーベルニコフ・ヤノット陛下、厳格王と呼ばれました。そして第二十二代ロベルスキー・アーセニオ陛下、武豪《ぶごう》王として 名高かったお方です。第二十一代フォンギレンホール・デュウェイン陛下は好戦王、その前のヘンストリッジ・デイビソン陛下は杀戮《さつりく》王、フォンロ シュフォール・バシリオ陛下は残虐《ざんぎゃく》王……」
「なんかだんだんヤバイ呼び方になってこねぇ? もっと気楽な、石油王とか新闻王とかブランド王とかの人はいねーの?」
「さあ……石油も新闻もブランドもないからなぁ」
「第十五代魔王グリーセラ・トランティニアン・ヤッフト陛下、首刈《くびか》り王。第十四代フォンウィンコット・ブリッタニー陛下、流血王……」